岡田と申します

2024.04.22

4月20日、下高井戸シネマに『日々をつなぐ』特集を観に行く。

カメラマンの飯岡幸子さんの監督作『ヒノサト』、映画編集者の大川景子さんの監督作『Oasis』の2作品を観た。

下高井戸シネマ、初めて行った。飯岡さんの主催の特集ということで、2作品とも満席。

『ヒノサト』

飯岡幸子さんが映画美学校のドキュメンタリー科時代に作った作品で、飯岡さんの祖父が持っていた蓄音機、レコードをきっかけに、祖父のことを知りたくなった飯岡さんは、祖父が高校の美術教師をしていた福岡県宗像市日の里の取材を始める。

日の里には祖父の油絵があちこちにあるらしい。しかしカメラはずっと日の里の町の情景を映し続け、何を撮ろうとしているのか、何を知りたいのか、目的が一切明かされない。そして時々、町や学校、家の情景の間に日記のような文章の字幕が挟まれる。(アフタートークでこの文章は祖父が書いていた日記の文章。ということらしい)

ずっと映される情景映像を見続けて、これは誰のまなざしなんだろう?と考える。映っている人達もカメラを意識していない、というかそこにカメラは存在していないように思えて、もしかしてこのまなざしの正体は幽霊なんじゃないだろうかと思う。幽霊がぼーっと眺めているみたいな。あ、このまなざしは飯岡さんの死んだ祖父のまなざし?

どことなくずっと感じる死の気配。やがてこのまなざしと字幕(文章)はどうやら同じ人らしいと推測できるようになり、ここからまなざしの人物の時間、飯岡さん自身の時間、日の里の歴史の時間が交差していく。

定点から一転して手持ちに切り替わる時があるのだけど、この時一瞬だけ撮影者(飯岡さん)の影が映る。この影を観た時、なんというか、これはさっきまで観ていたまなざしとは違うんだと思った。二人のまなざしが交差して、何かの物語が立ち上がった。

『Oasis』

港区を舞台に、ある夫婦が、自転車に乗って港区を散策する。散策しながら、時々自転車を止めて道端に生えてる植物や小さな虫を見て、カメラに収める。二人の心に引っかかったものをカメラに収めていく過程は、小さな範囲でも楽しめるところはあるんだよと教えてもらっているみたいで、楽しかった。

妻の舞は画家のようで、カメラに収めたものを基に絵を描く。画家の絵を描く過程って意外と見たことがないから、こんな感じなんだとちょっと感心。

そして、この映画の録音、整音を担当する黄永昌さんは、港区の道路や川や高架下の音を録っている。録音する際の、耳を澄ませて音に集中する姿が印象に残る。

なんか、世界が広がっていくように思えた。

純粋に楽しいなと思えた映画。僕らの生活には、「楽しいこと」が沢山潜んでいるんだと思う。それは見落としてしまいがちだけど、ちょっと目と耳を澄ませばどこにでもあるんだなと気付けた。

あと、映画に映るご飯がものすごく美味しそう。天ぷらとか、プリンとか。我慢できなくなって、帰りにコンビニでプリンを買って帰った。美味しかった。