岡田と申します

2024.05.22

デビュー作『レザボア・ドックス』とタランティーノについてのドキュメンタリー『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』の二本立てを観た。

『レザボア・ドッグス』

高校生の時にTSUTAYAで借りてきて以来、久しぶりに観た。

あの時よりも映画を観てきているので、ブシェーミとかティムロスに反応出来るようになってちょっと嬉しい。

ファーストシーン。「ライクアヴァージン」についてのくだらない話に始まってタランティーノ映画お決まりのくだらないジョーク。アメリカ人は一人一つジョークを持ってるのかな。こういうところちょっと関西人に似ている気がする。下ネタはアメリカの方が強いと思うけど。

タランティーノらしい始りだけど、当時は衝撃だったのだろうな。タランティーノはオープニングで観客を引き込む力がものすごい。『リトル・グリーン・バッグ』が流れるオープニング、クソかっこいい!

五人組の強盗犯たちが、犯行時に警察に襲われて倉庫に逃げ込む。どうやら五人の中に警察のスパイがいるらしい。誰がスパイなのか分からないまま、密室劇が繰り広げられる。

なんて言うのかな、タランティーノの映画はいつも魅力に溢れていて、斬新というか、革命的というか、タランティーノにしか出来ない(思わず真似したくなっちゃう)会話劇とかキャラクターにいつも驚く。作家映画っぽくもあるし、ジャンル映画でもあるし、特別にものすごい事をしてるわけでもないのに感じてしまう唯一無二感。全てがかっこよくて、とにかく興奮しっぱなしだった。

Mrオレンジが家を出る時、ジャケットを羽織り、拳銃を装備して、なんかコインがいっぱい入った入れ物から指輪を取り出してはめる。こういう所作がいちいちかっこいい。思わず僕も家を出る時自転車の鍵をかっこつけてポケットに入れてしまった。

『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』

『レザボア・ドッグス』から『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』までのタランティーノの映画人生を彼と関わって来たスタッフ、キャスト達が語っていく。タランティーノは、映画に愛されているけど、でも彼自身が映画をものすごく愛しているんだとも思う。

職場の人と話してちょっと思ったのが、色んな映画監督の中でもタランティーノは僕らと同じ道にいる人なんだなと、身近に感じる。映画好きが映画を作っているっていうのが彼の作品を観てすごく伝わってくる。

メイキングも映っていて、撮影中のタランティーノは本当に楽しそう。今この瞬間映画が生まれている、生み出している事に心の底から喜んでいるのが伝わる。

『デスプルーフ』でみんなで酒を飲む芝居の撮影をしている時はタランティーノも一緒に酒を飲んで、本当は2テイク目でokが出ていたけど楽しくなっちゃったタランティーノはさらに12テイクしたらしい。最後には自分が飲んでいた酒のグラスが割れて手が血だらけになったの見て笑い転げていたとか。

またさらに別の話では、タランティーノはいつもカメラの前にいる役者に、編集室で孤独に編集している編集者のサリー・メンケに挨拶してほしいと頼む。役者たちは快く聞いて「ハイ、サリー」と笑顔でカメラに言う。そしてスタッフ達もカメラの外から一緒に「ハイ、サリー」と声をかける。

このエピソードが一番好きだった。ほんとに映画に関わる物や人全てを愛しているんだなこの人は。

そんなエピソードを話す人達はとても楽しそうで、その思い出をとても大切にしているのが伝わってくる。彼ら曰く、僕らはタランティーノの映画の愛に感染したらしい。

映画に愛される男は映画に関わる人達にも愛されている。