5月26日、横浜シネマリンで観る。バイト前に駆け込んで観て、ちょっと遅刻しそうになった。なぜかいつもシネマリンから駅までの道を迷ってしまう。
めっちゃ好きな映画。
去年『枝葉のこと』と『逃げきれた夢』を観てから、僕は二ノ宮隆太郎に首ったけ。作家ってこういう人のことを言うんやろうなあと考える。
夢もない、何もない若者三人(渉、英治、光則)の映画。でも、なんか爽やかな気分になれる。明日も生きていこうかとため息交じりに映画館を出れる映画。『枝葉のこと』はなんかすごい自己破滅的だなと思ったけど、あれから二ノ宮さんの心は変わったのだろうか。少し前向きになれたのかな。
会話、すごい良かった。生きてる感じがする。英治がすごい喋る。たいそうな事を言ってるけどなにか薄っぺらい。重力がない言葉たち。でもこの言葉こそが英治の言葉なんだろう。
光則は老人ホームで働いている。でもその老人たちはとても空虚で、老人ホームがまるで刑務所のような、言い表すことの出来ない恐怖の場所に見えてしまう。『逃げきれた夢』では老いることの虚無とか恐怖を描いていたけど、二ノ宮さんにとって若者の空虚さと老人の虚無さは同じものに見えているのだろうか。
重力のない言葉でも、こいつは生きてるんだなと思える。渉の同僚はひたすらに上司の愚痴を言い続ける。渉はただ相槌もしないで聞いている。でも、こんなやつでもどこかちょっと好きになってしまう。二ノ宮さんの映画は綺麗ごとを並べたような人間は出てこないし、僕らが知らず知らずのうちに目を背けてしまっているようなものを彼は愛情を持って見つめている。
それが作家二ノ宮隆太郎としての力強さなのかもしれない。